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	<title>o xein’, angellein... &#187; 本</title>
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	<description>思想・文化・IT・ビジネス系の書評、ウェブについての考え事、好きなクラシックや古楽などについて書いているブログです。</description>
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		<title>『つむじ風食堂の夜』</title>
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		<pubDate>Sun, 30 May 2010 03:24:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator>gamma_ut</dc:creator>
				<category><![CDATA[日々]]></category>
		<category><![CDATA[本]]></category>
		<category><![CDATA[古書]]></category>

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		<description><![CDATA[ photo credit: BaylorBear78
政治とは妥協の芸術、なんだそうだ。
もう少し正確に言うと、Politikとは die Kunst des M&#246;glichen und ihre Tugen [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='photodropper'><a href="http://www.flickr.com/photos/24699033@N04/3464779893/" title="good morning, moon" target="_blank"><img src="http://farm4.static.flickr.com/3657/3464779893_a74a20301f.jpg" alt="good morning, moon" /></a><br /><small><a href="http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/" title="Attribution-ShareAlike License" target="_blank"><img src="http://gamma-ut.net/blog/wp-content/plugins/photo-dropper/images/cc.png" alt="Creative Commons License" width="16" height="16" /></a> <a href="http://www.photodropper.com/photos/" target="_blank">photo</a> credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/24699033@N04/3464779893/" title="BaylorBear78" target="_blank">BaylorBear78</a></small></div>
<p>政治とは妥協の芸術、なんだそうだ。</p>
<p>もう少し正確に言うと、Politikとは die Kunst des M&ouml;glichen und ihre Tugend der positive Kompromi&szlig; らしい。ドイツ語を忘れて久しいが、ためしに訳せば「可能性の芸術であり、肯定的な妥協の産物である」とでもなるだろうか（間違っていたら教えてほしい）。</p>
<p>さてこれを聞いてホンモノの芸術家がなんと思うかは分からないが、もし人生にも政治の側面があるとするなら、人生もまたある意味では妥協の芸術なんだろうか？</p>
<p>人はそんなふうに言い聞かせながら、年をとっていくものかもしれない。あるいは、年を重ねるということが即ちそういうことなのかもしれない。</p>
<p>どこともしれない不思議な街、月舟町での交錯を描くこの小説にもそんなシーンが現れる。<br />
<span id="more-904"></span></p>
<blockquote><p>
　そのとおり。私は背が低いので役者をあきらめたのだった。思えばまったく自信なんてものを持てなかった。いや、本当はそうじゃない。自信が持てなかったことを、背が低いことのせいにした。それが正しい。</p>
<p>　その証拠に、私は台本書きもままならなかったのだから。<br />
　<br />
　<cite>吉田 篤弘『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4480421742/gamma_ut-22/">つむじ風食堂の夜</a>』（ちくま文庫） p.62</cite>
</p></blockquote>
<p>鶏が先か卵が先か、という話ではないが、その時その時の条件と選択というのは誰にもある。<br />
基本的には、それを多かれ少なかれ正当化しなければやっていけないだろう。</p>
<p>が、しかし。日々を生きていくというのはそれほど単純なものでもないのではないか。</p>
<p>著者の吉田は「<span class="amz"><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/redirect.html?ie=UTF8&#038;location=http%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fs%3Fie%3DUTF8%26redirect%3Dtrue%26tag%3Dmozillajapan-fx-22%26index%3Dblended%26linkCode%3Dqs%26field-keywords%3D%25E3%2582%25AF%25E3%2583%25A9%25E3%2583%2595%25E3%2583%2588%25E3%2583%25BB%25E3%2582%25A8%25E3%2583%25B4%25E3%2582%25A3%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B0%25E5%2595%2586%25E6%259C%2583%26sourceid%3DMozilla-search&#038;tag=gamma_ut-22&#038;linkCode=ur2&#038;camp=247&#038;creative=7399">クラフト・エヴィング商會</a><img src="https://www.assoc-amazon.jp/e/ir??t=gamma_ut-22&#038;l=ur2&#038;o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /></span>」の名義でのほうが有名かもしれない。<br />
あのウィットに富み練りこまれた文章を小説にしたというと分かりやすい。<br />
「私」の父親が手品師だというのもしゃれている（もちろん、話の鍵にもなっている）。</p>
<p>この本を買った日のことはよく覚えている。澄んだ寒空にそれこそ手品のような三日月がかかり、ビルの上をのっそりと飛行船が横切っていった夜だった。</p>
<p>私は高田馬場の郵便局に小包を受け取りに行っていて、そこに閉店セールをやっている古本屋が現れたのだ。<br />
古本屋に行くこと自体久しぶりで、結局行きと帰りに3軒寄った。<br />
昔よく通っていた古本屋への、自分なりのささやかな支援のつもりでもあった。</p>
<p>この話の中の「私」は、ふとしたきっかけから、もう一度台本書きをしてみることになる。<br />
それも、たった一人のために。</p>
<p>それで「私」が自信が持てるようになるかどうかは誰にも分からない。が、一人のためにもう一度やり直すというのは、それほど悪い話でもないだろう。</p>
<div class="imoadv clearfix">
<div class="imoimg"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41HCZMRAWAL._SL160_.jpg" width="112" height="160" alt="つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)" /></div>
<div class="imotitle"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480421742/gamma_ut-22/">つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)</a></div>
<div class="imospec">吉田 篤弘<br />筑摩書房<br />2005-11</div>
<div class="imorel"><a href="http://www.5yen.com/bk/a/4480421742/gamma_ut-22/">→関連アイテム</a></div>
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		<title>『世界は仕事で満ちている』</title>
		<link>http://gamma-ut.net/blog/archives/903</link>
		<comments>http://gamma-ut.net/blog/archives/903#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 08 Nov 2009 13:27:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>gamma_ut</dc:creator>
				<category><![CDATA[仕事・働き方]]></category>
		<category><![CDATA[本]]></category>
		<category><![CDATA[ノンフィクション]]></category>
		<category><![CDATA[仕事]]></category>
		<category><![CDATA[記憶]]></category>
		<category><![CDATA[谷川俊太郎]]></category>

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		<description><![CDATA[ photo credit: shoothead
あなたが、そして私が使っているモノにはかならず物語がある。
たとえば、今この文章をご覧になっているディスプレイ。それは今までどれだけのものを写してきたのだろう。ひょっとし [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='photodropper'><a href="http://www.flickr.com/photos/66621443@N00/3951393839/" title="water" target="_blank"><img src="http://farm4.static.flickr.com/3511/3951393839_8caeff90c7.jpg" alt="water" /></a><br /><small><a href="http://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.0/" title="Attribution-NoDerivs License" target="_blank"><img src="http://gamma-ut.net/blog/wp-content/plugins/photo-dropper/images/cc.png" alt="Creative Commons License" width="16" height="16" /></a> <a href="http://www.photodropper.com/photos/" target="_blank">photo</a> credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/66621443@N00/3951393839/" title="shoothead" target="_blank">shoothead</a></small></div>
<p>あなたが、そして私が使っているモノにはかならず物語がある。</p>
<p>たとえば、今この文章をご覧になっているディスプレイ。それは今までどれだけのものを写してきたのだろう。ひょっとしたら、あなたはそれを見て笑い、感心し、涙したかもしれない。<br />
あるいはまた、その机の上で書かれたもの・読まれたもの。それはあなたがやりとりした情報そのもののはずだ。そしてその情報は、あなたの人生に何ほどかの足跡を残してはいないだろうか。</p>
<p>だとすれば、そのディスプレイ、その机、それらはあなたの生きてきた時間に他ならない。</p>
<p>場所にも、そうした物語がある。広場、甍、柱、そうしたものに場所の記憶は宿り、そこを数限りない人々が通り過ぎていった。違うのは、人の物語は時間に流され、時間を捨てることによってこそ人は新しくなれるが、場所は留まり、流れず、ただ忘れ去られるということだ。</p>
<p>物語の背後には、人がいる。モノの背後には、仕事がある。仕事をしているのは、誰でもない。人だ。<br />
<span id="more-903"></span></p>
<p>「<a href="http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070531/126077/">降旗 学の長目飛耳</a>」という名の連載、そしてそれが束ねられたこの本はそうした発想に貫かれている。取材対象はみなプロだが、相手への尊敬からかもしくは筆者のスタイルか、距離は近くなりすぎず淡々としているが、世情の背景や事実を描くことは忘れない。それが安心できる。</p>
<p>こうしたドキュメンタリーにありがちな偉人伝・成功者列伝というパターンではない。ゴキブリ駆除研究者に始まり焼イモ屋に終わるさまざまな仕事には、その人たちなりのストーリーが、それも一筋縄でいかないものがある。自分の商売道具が嫌いで仕方なかった人、仕事の夢もプライベートの夢も一度は捨てざるを得なかった人、優しすぎるがゆえに挫折を招いた人、公言しづらい仕事をしている人、普通の大学生活よりクビになったバイトのほうを懐かしむ人…。胸に手を当てれば、他の誰でもない、そうした人たちの日々の仕事が自分の暮らしを支えていることが分かる。そしてどこか、そうした人たちの苦しい思いが自分のなかで反響する。</p>
<p>私にとって救いがあるのは、彼ら彼女らがプロであって、プロであり続けるために生きようとしているところだ。そうして道を拓いていくからこそ、ノンフィクションながらまるでO.ヘンリーの一篇のような展開が読者を待ち受けることになる。</p>
<p>なお、本にはウェブ上の連載にあった写真はない。<a href="http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080109/144563/">この煙草のプロ</a>のような写真があれば魅力はぐっと増すのだが、そこは紙幅の都合なのだろう。</p>
<p>と言ってもそれでこの文章たちの魅力が減ずるわけではない。「シゴトは選ぶな、選ばれろ」というオビ文句は、そのままBerufという言葉を、<a href="http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20080116/p1">落ちた場所で根を生やす</a>ありかたを示してもいる。</p>
<blockquote><p>
まともな人生を送るためにまともな企業で働くというのは幻想であり、まやかしだ。いったい、誰がこんな幻想を若い世代に抱かせてしまったのか――？　大切なのは、その仕事に歓びや生きがいを見出せるかなのに。<br />
<cite>降旗 学『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4822246779/gamma_ut-22/">世界は仕事で満ちている</a>』（日経BP社、2008年） p.4</cite>
</p></blockquote>
<div class="imoadv clearfix">
<div class="imoimg"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/510TgPd-1TL._SL160_.jpg" width="110" height="160" alt="世界は仕事で満ちている 誰もが知っている、でも誰も覗いたことのない38の仕事案内 (NB Online book) 降籏 学" /></div>
<div class="imotitle"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246779/gamma_ut-22/">世界は仕事で満ちている 誰もが知っている、でも誰も覗いたことのない38の仕事案内 (NB Online book) 降籏 学</a></div>
<div class="imospec">降旗 学<br />日経BP社<br />2008-06-12</div>
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		<title>『InterCommunication』の後継、『IC』について</title>
		<link>http://gamma-ut.net/blog/archives/862</link>
		<comments>http://gamma-ut.net/blog/archives/862#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 07 Dec 2008 15:21:56 +0000</pubDate>
		<dc:creator>gamma_ut</dc:creator>
				<category><![CDATA[本]]></category>
		<category><![CDATA[考え事]]></category>
		<category><![CDATA[NTT出版]]></category>
		<category><![CDATA[コミュニケーション]]></category>
		<category><![CDATA[メディア論]]></category>
		<category><![CDATA[情報論]]></category>
		<category><![CDATA[批評]]></category>
		<category><![CDATA[雑誌]]></category>

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		<description><![CDATA[山本貴光さん（八雲出さん）のブログを読んでいたら休刊になった『InterCommunication』（NTT出版）がフリーペーパー『IC』となって帰って来たというので、興味がある向きには発送してくださるという該当エントリを読んで思わず頼んでしまった。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="photodropper"><a href="http://www.flickr.com/photos/73207064@N00/402984547/" title="Apple Keyboard (with Avid shortcuts; Letterboxed)" target="_blank"><img src="http://farm1.static.flickr.com/186/402984547_f52e9a6828_m.jpg" alt="Apple Keyboard (with Avid shortcuts; Letterboxed)" /></a><br /><small><a href="http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" title="Attribution License" target="_blank"><img src="http://gamma-ut.net/blog/wp-content/plugins/photo-dropper/images/cc.png" alt="Creative Commons License" width="16" height="16" /></a> <a href="http://www.photodropper.com/photos/" target="_blank">photo</a> credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/73207064@N00/402984547/" title="laffy4k" target="_blank">laffy4k</a></small></div>
<p><a href="http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/">山本貴光さん（八雲出さん）のブログ</a>を読んでいたら休刊になった『InterCommunication』（NTT出版）がフリーペーパー『IC』となって帰って来たというので、<a href="http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20081127/p1">興味がある向きには発送してくださるという該当エントリ</a>を読んで思わず頼んでしまった。山本さんはどこの誰とも知れない（というか単なる物好きな）自分にも丁寧に送ってくださり、大変感謝している。</p>
<p>　奥付を見ると、企画は<a href="http://www.ntticc.or.jp/index.html">NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]</a>、発行者は東日本電信電話株式会社、編集はNTT出版株式会社となっており、編集協力にワイアードビジョンの括弧つきで仲俣暁生・竹田茂両氏の名前がある。B5版で40pほどの小冊子だ。</p>
<p>　特集は「コミュニケーション･デザインのための40人のキーワード」というわけで、50音順で最初と最後の5名ずつ挙げさせてもらうと磯光雄・歌田明弘・エキソニモ・円城塔・大澤真幸……森山和道・安田洋祐・安冨歩・山本貴光・渡辺保史といった方々が編集部からの二つの質問に答える形を取っている。ひとつは「『IC』のテーマに関連して、最重要と思われるキーワードを１つ挙げ、その理由をお聞かせください」というもの。もうひとつは「『IC』のテーマに関わりなく、これからの日本や世界にとって重要と思われることについて、お考えがあればお聞かせください」というものだ。一つ目の問いには「個人出版」「媒体の設計」「脳科学と社会の関係」などといった言葉が並び、二つ目の問いには「アテンション」「いろいろある／神さまがいることもしくはいないこと」「情報の公共財」などといった言葉が並ぶ（これらを挙げているのは上に名前を挙げた方々ではない）。</p>
<p><span id="more-862"></span><br />
　特集以外では荻上チキ・濱野智史両氏が情報技術の変化を捉えるためのマップ作りを論じた文章、そしてICCの<a href="http://www.ntticc.or.jp/Archive/2008/Kidsprogram2008/index_j.html">「君の身体を変換してみよ」展</a>の写真と浅生ハルミン氏の体験記が載っている。こんな面白そうな展示会があったなんて全然知らなかった。浅生氏も仰っているが、行っていたら私もきっと「迷惑なまでに熱中する人」になっていたに違いない。（笑）</p>
<p>　……と面白そうなこの雑誌なのだが、この創刊号の寄稿者である森山和道氏によると、<a href="http://www.moriyama.com/diary/2008/diary.htm#diary.08.12.02">再度休刊の憂き目を見なければならない</a>ようだ。大変残念なのだが、ICCの動きには今後とも注目していきたい。っていうか幸いにして家から近いんだし「<a href="http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2008/Light_InSight/index_j.html">ライト・［イン］サイト―拡張する光、変容する知覚</a>」なんていう面白い企画もやっているのだから、今度遊びに行こうっと。</p>

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	</item>
		<item>
		<title>『床下仙人』</title>
		<link>http://gamma-ut.net/blog/archives/860</link>
		<comments>http://gamma-ut.net/blog/archives/860#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 07 Dec 2008 14:33:10 +0000</pubDate>
		<dc:creator>gamma_ut</dc:creator>
				<category><![CDATA[本]]></category>
		<category><![CDATA[F.カフカ]]></category>
		<category><![CDATA[原宏一]]></category>
		<category><![CDATA[小説]]></category>
		<category><![CDATA[祥伝社]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://gamma-ut.net/blog/?p=860</guid>
		<description><![CDATA[知人のIさんから薦められて読んでいた原宏一『床下仙人』 （祥伝社文庫、2001年、単行本は祥伝社、1999年）を読了。短くそれぞれの関連はない5本の作品からなる本で、小説を読むこと自体久しぶりだったが素直にエンターテインメントとして楽しめた。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="photodropper"><a href="http://www.flickr.com/photos/53706612@N00/239234587/" title="V for Vendetta" target="_blank"><img src="http://farm1.static.flickr.com/79/239234587_25bf1473a5_m.jpg" alt="V for Vendetta" /></a><br /><small><a href="http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" title="Attribution License" target="_blank"><img src="http://gamma-ut.net/blog/wp-content/plugins/photo-dropper/images/cc.png" alt="Creative Commons License" width="16" height="16" /></a> <a href="http://www.photodropper.com/photos/" target="_blank">photo</a> credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/53706612@N00/239234587/" title="hawken.dadako" target="_blank">hawken.dadako</a></small></div>
<p>知人のIさんから薦められて読んでいた原宏一『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4396328338/gamma_ut-22/">床下仙人</a>』 （祥伝社文庫、2001年、単行本は祥伝社、1999年）を読了。</p>
<p>　短くそれぞれの関連はない5本の作品からなる本で、小説を読むこと自体久しぶりだったが素直にエンターテインメントとして楽しめた。帯にある「これは現代版カフカの『変身』だ。」という惹句は私にはやや煽りすぎに感じられたが、それは私がカフカに持っているストレートな深刻さや不条理さのイメージが感じられないせいか、あるいは私がそれに気づかないくらい鈍感ということだろう。</p>
<p>　5本はそれぞれ「床下仙人」「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」と名づけられている。この中で一番キレがいいのは「てんぷら社員」で、地方支社から転勤してきたばかりの冴えない中年社員（田所さん）が、なぜか「この会社をつぶしたい」と若い主人公にだけ打ち明け、実際に本社の社員たちや上層部を揺さぶるような出来事が次々と起きていく。内心会社のあこぎなやり方に嫌気がさしていた主人公はその不気味な展開に複雑な思いを抱きながらただならぬものを感じ取るのだが、田所さんの種明かしを読むまでの高揚感は一番だ。</p>
<p>　不条理さというところでは社長が職場に派遣されてくる物語、「派遣社長」の途中までのほうが表題作よりも強く感じられたが、途中から派遣社長の言うことに振り回される職場よりも「本物の社長」と主人公の関係に焦点が移ってしまう。オチにも不条理さはなく、むしろ希望を感じさせるものとなっている。</p>
<p>　私は著者原宏一氏のほかの作品を読んだことはないのだが、「派遣社長」もそうであるように、表題作の「床下仙人」以外の4本はどれも結末は明るく爽やかで、なんとも言えない苦い後味の感じられるものではない。リストラされ家を追われた中年男と家を飛び出してきた少女の奇妙な共同生活を書いた「シューシャイン･ギャング」、つまり渋谷を舞台にして描かれる束の間の擬似家族の物語は晴れ渡った初夏の青空で終わっている。</p>
<p>　あえて難を言えば家族間や出来事の設定にやや無理を感じる箇所があるところだが、そこはそれ、現実からずれていくシュールさを楽しめばよいだろう。このシュールな奇妙さや風刺とユーモアの趣きは確かにカフカにつながっていると思った。</p>
<div class="imoadv clearfix">
<div class="imoimg"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/516YLHQyLiL._SL160_.jpg" width="111" height="160" alt="床下仙人 (祥伝社文庫)" /></div>
<div class="imotitle"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396328338/gamma_ut-22/">床下仙人 (祥伝社文庫)</a></div>
<div class="imospec">祥伝社<br />2001-01</div>
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		<title>『孤独と不安のレッスン』</title>
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		<pubDate>Sun, 30 Nov 2008 14:43:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>gamma_ut</dc:creator>
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		<category><![CDATA[コミュニケーション]]></category>
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		<category><![CDATA[大和書房]]></category>
		<category><![CDATA[孤独]]></category>
		<category><![CDATA[心理]]></category>
		<category><![CDATA[社会学]]></category>
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		<description><![CDATA[ photo credit: Arwen Abendstern
鴻上尚史『孤独と不安のレッスン』（大和書房、2006年）を読了。演劇に携わる著者らしく、孤独への恐怖・孤独の拒絶という強迫観念からふっと楽になるということを [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="photodropper"><a href="http://www.flickr.com/photos/10545985@N04/2074121036/" title="Frozen Rose" target="_blank"><img src="http://farm3.static.flickr.com/2342/2074121036_4d4472b492_m.jpg" alt="Frozen Rose" /></a><br /><small><a href="http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" title="Attribution License" target="_blank"><img src="http://gamma-ut.net/blog/wp-content/plugins/photo-dropper/images/cc.png" alt="Creative Commons License" width="16" height="16" /></a> <a href="http://www.photodropper.com/photos/" target="_blank">photo</a> credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/10545985@N04/2074121036/" title="Arwen Abendstern" target="_blank">Arwen Abendstern</a></small></div>
<p>鴻上尚史『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4479391401/gamma_ut-22/">孤独と不安のレッスン</a>』（大和書房、2006年）を読了。演劇に携わる著者らしく、孤独への恐怖・孤独の拒絶という強迫観念からふっと楽になるということを身体を通して実感することからこの「レッスン」は始まる。身体の反応は自分が頭で考えるよりもずっと遅いのだから、自分のしたいことが内からわきあがってくるためには時間と刺激のなさが必要だという。</p>
<blockquote><p>
一人旅が最適だと、僕は思っているのです。最低1週間以上の一人旅。それも、なるべく何もない観光地がいい、という不思議な旅です。</p>
<p>　（略）</p>
<p>　自分が、「本当は何をしたいのか？」「本当は何を考えているのか？」を知るためには、ちゃんと一定の時間、何もせず、退屈し、孤独になることが必要なのです。</p>
<p><cite>鴻上尚史『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4479391401/gamma_ut-22/">孤独と不安のレッスン</a>』（大和書房、2006年） p.28f.</cite>
</p></blockquote>
<p>　そうして一人で、誰のものでもない自分の言葉で考える時間は成長に結びつく。</p>
<blockquote><p>
　人間は、一人でいる時に成長するのです。</p>
<p>　（略）</p>
<p>　人に何か言われて、それがどんな意味なんだろう、どうしてそんなことを言ったんだろうと、一人で考えれば考えるほど、あなたは成長します。</p>
<p>　逆に言えば、自分一人で考える時間が無ければ、あなたはどんなに立派な話を聞いても、どんなに役立つ本を読んでも、その考えやアイデアは、あなたのものになりません。取ってつけたようで、人は、それがあなたの本当の知識じゃないことを見抜きます。</p>
<p>　あなたは、どんなに立派な話を聞いても、成長しないのです。<br />
<cite>鴻上尚史『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4479391401/gamma_ut-22/">孤独と不安のレッスン</a>』（大和書房、2006年） p.42f.</cite>
</p></blockquote>
<p><span id="more-856"></span></p>
<p>　こうして孤独への拒絶感を和らげること、孤独と親しくなることから始める著者は「みんな」という言い方、極限状況での人肉食、他人の欲望への敏感さが有能さとなるサラリーマンのあり方などに触れながら日本社会の神として「世間」を名指しする。しかし同時に著者はその「世間」が人間の価値観や人生を完全に規定する力を失い、「中途半端に壊れている」(p.79)と言う。世間という「神」が壊れていなければ、この社会の構成員にとっては世間の目がすべてとなるはずだが、今は必ずしもそうでもないという。</p>
<p>　そういった尺度がないのだから、著者がこの競争社会の中でもう一度「いったい、自分にとって勝つことと負けることとは何か？」と問うように薦めるのも自然だろう。「人生が、0か100かしかなければ、こんなに簡単なことはないでしょう。／けれど、人生は、26点とか46点とか67点とかで生きていくものなのです。いえ、生きていくしかないものなのです」「100点以外は、すべて負け組ですか？（略）そういう考え方をあなたに刷り込んだのは誰ですか？厳しい親ですか、厳しい会社ですか、厳しい教師ですか、厳しい自己嫌悪ですか？」(p.87f.)といった言葉たちが、孤独の隣にいる不安・人生への不安を巧みに説明し、考えさせることへ導いている。</p>
<p>　ここで触れるのは適切でないかもしれないが、評のためにこの本を読み直し、犯行予告で捕まった元東大生のコメント「理想を持って勉強してきたが、教科書の内容と違う現実があることを知り、日本教育を主宰している文科省に詐欺をされたと思った」との奇妙な照合を感じざるを得なかった。表向きには短絡的にしか見えないこの行動の陰にどれだけの「厳しさ」が渦巻いていたのだろう。</p>
<p>　もちろん、この本にはそうした「厳しさ」を引き起こしている不安と共に生きていくヒントが書かれている。手垢のついた言い方で申し訳ないのだが、それは自分の想像と自分を縛る自意識の世界から脱して（それを一気に捨て去るという意味ではない）、よくわからない（が、世間一般の他人と違ってわからないままにもしておけない）身の周りの他者や世界と悪戦苦闘しながら、頼れる人をたまに見つけたり、たまに頼れる人に頼ったり、時には一時撤退なんかもしながら生きていくというやり方に他ならない。えーそれって具体的にはどうなの、というところはぜひ本書で確かめてほしい。キーワードは再度身体、そして贈与などだ。</p>
<p>　最後に。孤独と不安を背負って生きていくことはときにつらい。だから、著者が引用している次のメッセージは象徴的だ。</p>
<blockquote><p>
　「インターネットの一番の問題点は何だか、鴻上さんは知っていますか？」</p>
<p>　(略）</p>
<p>　「熱中して学校に行かなくなるとか、仕事がおろそかになるとか、夫婦関係が崩壊するとかじゃないんです。そんなことは、二次的なことです。一番の問題点は、『簡単になぐさめられること』なんです」</p>
<p><cite>鴻上尚史『<a href="http://www.5yen.com/bk/a/4479391401/gamma_ut-22/">孤独と不安のレッスン</a>』（大和書房、2006年） p.217</cite>
</p></blockquote>
<p>　こうしてこの本の議論ははからずしもウェブを介したコミュニケーションの速度という背景を踏まえていることになる。最初に引用した部分での刺激のなさ＝「退屈」というポイントがここになって効いているのがわかるのだが、この本は一人一人の生き方についてのものだから、社会的なインフラの話までは展開されずに終わる。</p>
<p>　だが壊れかけた「世間」とウェブ時代の生き方を考えるなら、その論点ははずせないのではないだろうか？そこを埋めるような本があってもいいし、隆盛を見せているソーシャルメディアを巡る議論などもそこに関わってくるように思う。</p>
<p>　おそらく私がもう少し年を取ったとき、若い人向けのこの本をまたいつか読み返す日が来るだろう。そのときはまた、違った評が書けることだろう。</p>
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<div class="imospec">大和書房<br />2006-06-10</div>
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