人気のあるもの・人気のないもの

ポットのお湯がぬるいので、いれたインスタントコーヒーもすぐぬるくなってしまう冬の朝です。帰省した実家では北らしく雪がちらつく日もあり、随分久しぶりに見る気がする石油ストーブに火を入れながらパソコンをいじっていると部屋の酸素が薄くなって頭が痛くなるようです。ちなみにこの街でも、大規模な小売店舗が車でなければ行けない距離に建つ流れは私が暮らしていた頃――もう優に5年は前ですが――よりも強くなっているようです。

さて、思えば去年は自分自身が世の中で生きていくモデルを研究者から別のもの、いわゆるビジネスパーソン・企業人に切り替えた年でした。本当は一昨年くらいに切り替えていたはずなのですが、体で実感したのは昨年です。直前のエントリで書いた「相対化」もそうした切り替えと強く結びついていて、言い方を変えれば、今までより広い世間の中で自分の位置を探っているというところでしょう。

広い世間と言えば「人気」というものが世のものにはつきまとうのですが、広告βさんのところで目が覚めるメッセージが記されていました。

だいたいにおいて、人気による評価を基準にコンテンツを試聴するような人は、別にそのコンテンツを評価したくて試聴しているわけではないし、そもそも評価基準がわからないから人気に頼っているのである。なにも無理して、評価する気のない人の視聴行動を評価基準にする=販売数・試聴数・閲覧数による評価をする必要がない。(もちろん、コミュニケーションの肴としてのコンテンツということであれば、「みんなが見ているアレ」にはそれだけで価値がある)
広告β:一億総表現社会に期待する


そうなるのはなるべく避けてきたつもりでも私は否応無く一人の偏った「専門バカ」ではあるでしょう。職業的な立場を持って物を語る水準にはないとしても、細部への志向や興味関心の偏りがあるのは否定しません。だからなおさら、専門外のものはとんと分からず、それらに対して自分なりの評価基準も特にありませんでした。無知とは恐ろしいことです。

しかし私がコンテンツの享受に使える時間も残り少なくなってきました。千代に八千代に、とは行きませんから。もう少し自分の選択、それらを選択する基準に敏感になりたいと思います。好きなものは好きなように享受するのが一番ですが、先達の行跡をほどほどにたどるのが早道なこともあるでしょう。

「販売数・試聴数・閲覧数による評価」が有効なものとそうでないものを見極める、つまりそれらがそもそも有効なのか、有効だとしてもそれを積極的に採用するのがいいのか、しないほうがいいのかということを決めなければならないと思います。こうして分けた枠にどの物事を入れるかはその人のセンスと価値観、人生への取り組み方が問われることになるはずですが、にも関わらずこうしたことを決める理由は明らかです。それらが有効でないジャンル、人気ではない基準で判断したいジャンルについて、人気につられて要らないものまで消費しても仕方ないからです。そしてまた「販売数・試聴数・閲覧数による評価」の時間軸はものすごく短い場合――せいぜいここ数年――が多いでしょうから。

自分自身は相対化されながらも、評価軸として相対化されないものも持つこと。「連帯を求めて孤立を恐れず」とまで構えなくとも、世のものごとに対する枠組みを自分の中に作り鍛えていくことを今年の目標の一つに据えましょう。そろそろ、そういう齢でもあるでしょう。

皆さまにとって、この一年が良い年でありますように。

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