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横浜でぼんやりとした一日

2008/11/02 (日) 13:48
カテゴリー: 日々
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30日からケータイに迷惑メールが山のように届いていました。普通は1日30通前後なのですが、30日の昼過ぎから増えだして、寝る前に一回削除して翌朝むくっと起きてみると未読が100通を越えていて。ほとんどは海外のメールなので、スパムもきっとハロウィーンのお祭りだったのでしょう。10月の魔法が解けて11月に入ったらいつものペースに戻りました。

その迷惑メールの嵐があった31日の金曜日は同窓会的な飲み会もあって少し疲れていたので、いつも降りる最寄りの駅より一駅手前で降りて、真夜中の夜道をゆっくりと歩きながら帰りました。

春・夏をあたふたと過ごしているうちにいつの間にか季節はすっかり秋になって、夜の風ももう冷たくなっています。久しぶりに逢った人たちも少しずつ、でも確実に変わっていた、いや変わったのは自分の見方なんだろうか、それとも元々見えにくかった違いがはっきりしただけか、となんだか少し寂しいような清清しいような気持ちで缶コーヒーを飲みながら帰宅すると、最近のごたごたもあったりなかったり、心の中にふっと海が浮かんできました。

私の育ったところには海があって(と言っても車で2,30分はかかる距離ですが)、夏は海水浴で多少は賑わうにしても、オフシーズンともなればただ閑散とした砂浜と水平線が広がっていました。そんな海のある風景でぼんやりしたくなって、海のある街横浜に行こうと思ったのです。

ええ、まあ、結論から言うと砂浜と水平線はありませんでした。横浜は砂浜の街ではなくて港町なのでした。それでも、数年ぶりの山下公園に入って休日を楽しむ人たちの多さにたじろぎながら岸壁のほうに向かうと、あるある、波音を立てながら氷川丸と海鳥とがぷかぷかと浮かんでいる、それは、やっぱり、あの海なのでした。


海を見ながら自分との付き合い方とか他人との付き合い方とか、さてこれからどうやって生きていったもんかねえなどととりとめもなく考えていると、まだ電車に乗っていたうちから気になっていた石垣りんの「くらし」(1)が思い出されて、ケータイで調べるとその詩がご自身の娘さんの話と偶然にか並べられた「Ania雑記」さんのエントリーが出てきました。「ああそうだよな、性ってそうだよな、人間って種の戦略の意味でも多様なんだな、それはどうにも仕方のないことだ」と思ってまた海を見ます。しかし期していたようにゆっくりベンチで本を読むには人が多すぎるので、ちょっと歩いて山手の外人墓地まで行くことにしました。

元町を抜けて見尻坂を上っていけば佇んでいる外人墓地は、ラッキーなことに公開日で、普段は入れない奥まで入ることができました。しかも墓地には公園には足りなかったものがあります。入り口近くのところに置かれた椅子に座って、忙しいスケジュールがあるわけでもなく、次に行くところが決まっているわけでもなく、ただ秋の午後の日差しの中でぬくぬくと日向ぼっこをしていると、足りなかったそれ――つまり猫――はゆっくりと歩いてきてそばに丸まりました。ふと振り返ると木立の中でうずくまっている猫もいます。木立のさらに後ろから、入り口で受付をしている女性と訪れた方の会話が聞こえてきます。なになに、この墓地の中は治外法権なんだって?でも猫には知ったことじゃありません。遠くに現代の高層ビルを望みながら、遠い故国を離れて眠る人々の墓地には静かに光が降り注いでいます。

木立の中で日向ぼっこしていた猫です。

横浜山手外人墓地の猫 1

横浜山手外人墓地の猫 1

二番目の写真が、歩いてきて丸まった猫。風邪を引いているのかくしゃみをしたり、しきりに体を毛づくろいしたりていてしばらく目が合いませんでしたが、ちらっとこちらを見たときの顔には左目が見当たりませんでした。喧嘩でやられたか、もしくはなにかの病気でまぶたがものすごく大きくなっていたか。後ろに写っている道が見学順路ですが、通っていく人には一切お構いなしの猫です。

横浜山手外人墓地の猫 2

横浜山手外人墓地の猫 2

順路を進んだ右手にある建物の石段で暖をとる猫。多分、最初の猫と血縁なのでしょう。奥にしっぽが移っている猫はまだ若猫で、二番目の猫の子供のように見えました。こちらをしきりに見ていて、人間への興味と警戒心が感じられました。

横浜山手外人墓地の猫 3

横浜山手外人墓地の猫 3

墓地を包む森の中で猫を意匠した石のベンチに腰掛け、木漏れ日の中で羽虫が踊っているのをぼんやりと眺めたあと、ゆっくりとこの階段まで来て、はたと思い出しました。二回目の訪問――それも中に入ったのは初めてのはず――なのになにか懐かしいのは、自分のサイトのトップに借りている写真で見ている墓地だからでした。お借りしているMONOのサイトの写真と見比べてみてください。そこにも書いてあるように、写真魂をくすぐるのか、カメラを抱えた方もちらほらと見受けられて、自分もなにかそれなりのデジタルカメラが欲しくなりました。というか根岸外人墓地というのもあるのですね。今度また行ってみようかな。

横浜山手外人墓地の階段

横浜山手外人墓地の階段

さてその後はまた入り口の猫に挨拶して坂を下り、終わった祭りの名残でしょうか、オレンジ色の髪がついた黒いとんがり帽子を手持ち無沙汰に持っていた人とすれ違い、東京に戻る電車で日が沈みつつある帰り道につきました。当初願っていた砂浜と水平線はありませんでしたが、せわしい寄り道もせずなかなかリラックスした休日でした。また今度三連休があるので、人気のなさそうでかつ東京から遠くない海辺を探してみようかと思います。

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  1. 「食わずには生きてゆけない/メシを/野菜を/肉を」で始まる詩。 [戻る]
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