o xein’, angellein…

« 口頭試問など | ホーム | 引っ越します »


国分寺に響くサックスアンサンブル

火曜日, 2 月 26, 2008 at 16:25:55
カテゴリー: 日々, 音楽

サクソフォン(サックス)というとジャズやポップスの印象が強いが、ラヴェルやプロコフィエフが使っていることからも分かるようにクラシカルな音楽にも自然に溶け込める万能選手だ。しかしサックスのアンサンブルとなると聴いたことのある人は限られてくるかもしれない。大学のサークルでの先輩(プロではなくアマチュアとして活躍されている人たち)が中心となってサックスアンサンブルのコンサートを開いたので、久しぶりにその音を聴こうと国分寺に行ってきた。23日、土曜日の話だ。

 国分寺駅を出て暗くなりかけた中で道を探すと出演予定のHさんが案内のカードを持って立っている。音出しとか大丈夫なんだろうか。道順を聞いて歩き出し、ちょっと迷うが無事到着する。「泉の里コンツェルトザール」と冠されたその建物は住宅街のなかに忽然と現れる。後から聞いたのだがドイツ語で「コンサートホール」を意味する会場はある篤志の個人によるものだそうだ。周りを圧するコンクリートの建物などではなく木製のこじんまりとした暖かみある空間に入ってみると、既に客席にはしばらく会ってなかった先輩の顔があった。ホールというより大きめの部屋というほうがしっくりくるようなスペースは2階席を入れても100人入れるかどうかというところだろうか。きっと、据付らしいベヒシュタインのピアノ(初めて見た)や声楽のソロ・古典的な弦楽四重奏を意図されて建てられたのだろう。だからピアノを入れて最大6人のサックスアンサンブルには若干厳しい予感がした。しかし満席近くになって演奏が始まってみると、アンサンブルの重厚な和音やめまぐるしいパッセージの連鎖に巻き込まれる。サークルを終えて一旦楽器を止めてしまったことがちょっと後悔されるくらい充実した演奏が続く。なお今回の曲目は以下のとおり。

  第一部

  • D.マズランカ マウンテン・ロード より I 序曲  D.Maslanka, “I Overture” from Mountain Roads
  • E.ボザ アンダンテとスケルツォ  E.Bozza, Andante et Scherzo
  • D.ケックレー ステッピング・アウト より I Minimum Overdrive IV An Easy Burden  D.Kechley, “I Minimum Overdrive”, “IV An Easy Burden” from Stepping Out

  第二部

  • 長生 淳 ウルトラバイオレット J.Nagao, Ultraviolet
  • G.ピエルネ 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏 G.Pierné, Introduction et Variations sur une Ronde Populaire
  • A.ピアソラ ブエノスアイレスの四季 秋~冬~春~夏 A.Piazzolla, Las Cuatro Estaciones Porteñas Otoño Porteño - Invierno Porteño - Primavera Porteña - Verano Porteño

 ピエルネとピアソラは覚えていたがマズランカも始まってみると聞き覚えのある曲だった。かつて生で聴いたサークル内でのアンサンブル大会を思い出しながら耳を傾けていたが、特に後半になるにつれてプレイヤーの調子も乗ってきたようで楽しい演奏だった。ソプラノ・アルト・テナー・バリトンそれぞれからなるサックスアンサンブルには他の室内楽にないスピード感があると思うが、長生とピエルネの曲はそれが強く打ち出されていて十分に堪能することができた。この二つの音楽はそれぞれポップスが好きな人とクラシック好きな人に訴えかけるに違いない。最後のピアソラではピアノを入れた五重奏となって、サックスのソロやピアノのソロを含めつつラプラタ河の河口、南米の大港ブエノスアイレスの雰囲気が描き出される。

 ところで初めて知ったのだがこのピアソラの曲の題名は直訳すれば「港の四季」であり、ただの「港」でブエノスアイレスを示すことができるそうだ。さらに"Buenos Aires"とは「心地よい風」を意味するとか(1)。聴いた側はもちろん、演奏した側にとっても名前負けしない演奏だったと思う。アンコールの2曲もまた心のこもったものだった。もともと突発的な企画で2ヶ月程度の練習期間で開催し今回で一旦活動休止してしまうようだが、次もあればまた足を運びたい。

 ピエルネのものは音源を持っておきたくなったが、どこの団体のものがおすすめなのだろう。ご存知の方いらしたらご教示ください(2) (3)

-----
  1. 日本語のウィキペディアには現在ただ「良い空気」と記されているが、英語版には"Fair Wind"とあり、さらに地中海サルデーニャ島のカリアリ(Cagliari)にある"Nostra Signora di Bonaria"(英語では"Our Lady of Good Air")という教会の名に由来するとある。嵐のときに奇蹟が起きたとしてこの教会は船乗りたちの信仰対象だったようだ。1370年のその奇跡から下って1536年、船乗りたちのマリアに捧げた名を持つ港が南米に生まれた。で、そもそもは14世紀前半の戦勝時に吹いた「心地よい風」から名をつけられたカリアリの丘に、マリアの教会は今も立っているそうだ。 参照ページ 1 2 3  ところで私はスペイン語を解さないが"Buenos Aires"は厳密に言えば地名の所有格なのだろうか(「ウィンナー」がWienの所有格(2格)であるように)? [戻る]
  2. 追記: 出演者の方からJ.-Y.フルモー四重奏団の音源をお勧めいただいた。このCDのことだろうと思ったが、残念ながら廃盤のようだ。どうも発行元のRene Gaillyというベルギーの会社が倒産してしまったらしい。中古を探すかデジタル音源で買うか、いずれにせよ聴いてみたい。なおリンク先ではまだサンプル音源が聴ける。[03/09] [戻る]
  3. 続き。Rene Gailly社のものすべてかどうかは分からないが、少なくともこのCD、つまりJean-Yves Fourmeau Saxophone Quartet(Quatuor de Saxophones Jean-Yves Fourmeau)の”FRENCH MASTERPIECES”に関してはAirophonicというレーベルから再び出ているようだ。日本で買えるか確かめていないが、海外の販売サイトではたとえばeuráventというサイト内のこちらで見つかる。[3/18] [戻る]
タグ: ,
web拍手

コメント

使用可能なタグ:<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

コメントせずにこの記事の新しいコメントをメールで知らせる。

« 口頭試問など | ホーム | 引っ越します »







このサイト内ウェブ全体
この検索は「緑のgoo」を利用しています