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演奏会: ギャルドは吹奏楽ではない?

2007/11/04 (日) 16:27
カテゴリー: 日々, 音楽
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3日土曜日は有楽町の東京国際フォーラムAホールで行われたパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏会(Orchestre d’Harmonie de la Garde Républicaine, François Boulanger)に行ってきました。6年前以来の来日だそうです。リンク先にはキユーピー協賛の東京都心部の一般公演2回だけしかありませんが、プログラムを微妙に変えながら結構ハードなスケジュールで国内を回っているようです。どのくらいハードかというと、1日夜に鹿児島文化センター宝山ホール、2日夜に姫路市文化センター大ホール、3日午後に上記の国際フォーラムAホール、4日午後に名古屋国際会議場センチュリーホール、6日夜に戻ってきて東京オペラシティコンサートホール、7日夜に昭和女子大学人見記念講堂で学内公演、8日夜に松戸の聖徳大学川並香順記念講堂で学内公演、9日夜に武蔵野市民文化会館、11日日曜日の午後が最後でよこすか芸術劇場という具合。吹き過ぎないようにすれば過酷ではないでしょうが、移動も含めてよくやるなーという感じ。武蔵野、横須賀あたりの公演はまだ空きがあるかもしれません(1)

 さて今回のプログラムはリンク先のプログラムでの「ダフニスとクロエ 第二組曲」と「カルメン組曲」との間に休憩が入る二部構成でした。ギャルドを生で聴くのは初体験だったのですが、「吹奏楽でありながら吹奏楽でない」という表現が適切に感じました。これはプログラムに載っていた作曲家の真島俊夫さんの「僕の心にあるギャルド」というエッセイを読んで確信したのですが、根本的に日本の「吹奏楽」とは音楽へのアプローチの仕方が違うようです(2)。オーケストラの弦楽器セクションをクラリネット、サックス属、サクソルン属(3)、コントラバスで置き換え、それに加えてひな壇の上の管楽器セクション(四管編成)が別にあるという編成になっています。つまり、ヴァイオリンパートを担当するクラリネット群ともとのオケ曲でのクラリネットパートを担当するクラリネットの人が別であり、低音の弦を担当するコントラバス・サクソルンとテューバが別という具合です。メンバー表を見るとクラリネットが全部で24人なのに対しフルートは4人しかいません。

 そのアプローチの仕方のせいか、全体を通してソロをとるクラリネットと高音弦を担当するクラリネットの音色の違いがはっきり分かりました。「ダフニスとクロエ」の「全員の踊り」でのソロ、「ボレロ」でヴァイオリン担当のクラリネット群が入ってくるところなど、同じ楽器でこうも違うのかと感嘆(前者はそもそもE♭管なのですが)。ギャルドはパリ音楽院の1等賞受賞卒業者か同等の実力を持つ者というのが入団資格であり、実際音楽院の教授たちもいるようですが、絶妙な音色の使い分け、アンサンブルのやわらかさと透明さに唸ってしまいました。そうそう、女性も結構いたメンバーは教授たちらしき年配のおじさま方と若々しい面々で二極化しているように見受けられました。(笑)

 演奏はメインの「ボレロ」前の「ラ・ヴァルス」が圧巻。指揮のフランソワ・ブーランジェは今年で46歳、ギャルドでも10年目になる指揮者でいかにも紳士風な感を漂わせているのですが、髪がかなり白くなっておりパッと見では50代に見えました。比較的端正な見やすい指揮で「ローマの謝肉祭」「トゥーランドット セレクション」と進んで一部メインの「ダフニスとクロエ 第二組曲」になったものの、アンサンブルはさすがに上手い、一流と思いつつ、音の焦点が若干ぼやけがちに感じていました。うーむ、ホールがかなり大きいせいなのか、それとも私が聞いた1階前方・上手の低音寄りという場所が悪いのか。ブーランジェが「全員の踊り」の途中で急に踊るように指揮をし出したのには微笑んでしまいましたが。しかし休憩をはさんで「カルメン組曲」の後の「ラ・ヴァルス」になると燃えたつものがあったのかブーランジェの棒が情熱的なものに変貌していき、指揮台で飛び上がりそうになるシーンも何回かありました。演奏者たちもそれに応えた熱気ある演奏で、メイン前なのにブラボーが飛ぶという展開に。何に使うのか会場にはカメラも入ってましたが、是非このペアで録音してもらいたいな…。「ボレロ」はソリストたちそれぞれの技量がうかがえましたが中でもトロンボーンのソロでのフレージングが印象的でした。あのソロやはり難しいなと再認識しつつ拍手(4)

 しかし驚きはアンコールにもあったのです。全公演終わっていないので全部は種明かししませんが、1曲はリムスキー=コルサコフの某有名曲でした。プロのアンサンブルならできて当然なのでしょうが、全員のレベルの高さを見せつけられて、しかもそれを熱演の本プロ後にさらっと演奏してしまう。しかも最後は音符二つで消えていく…なんとクールなのでしょう。いや、かっこよすぎます。(笑) HMVがロビーでギャルドのCDを販売しており中高生含め終了後に買い求める人が多くいましたが、吹奏楽好きな方、フランス音楽好きな方、行けるようなら今からでも都合を合わせて行ってみてはどうでしょう。

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  1. なお武蔵野、横須賀では第二部は同じ、第一部は「ローマの謝肉祭」「魔法使いの弟子」「三角帽子 第2組曲」です。 [戻る]
  2. 真島さんのエッセイも、少年時のギャルドのレコードを聴いたことに始まりホンモノのワインの話に終わるいいエッセイでした。 [戻る]
  3. なおサクソルン属はメンバー表ではバス・サクソルン(音域的にはユーフォニウムに相当)4名とコントラバス・サクソルン(同テューバに相当)2名でした。手元のCDでの61年来日時の編成と比べるとアルト・サクソルン、バリトン・サクソルン、ほかビューグルが消えています。 [戻る]
  4. なおプログラムによれば1933年に「ボレロ」の吹奏楽版を初演したのがギャルドで、作曲者であるラヴェル自身が指揮したのだそうです。 [戻る]
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