テレビと「新聞没落」と
2007/09/25 (火) 12:07カテゴリー: 考え事
最近久しぶりにテレビを見た。NHKの番組で体の不思議に迫るという趣旨の番組で面白かったのだけれども、普段インターネットで情報を受け取ることが多い身からすると、どうにも説明の遅さを感じてしまった。「歯を強く噛み合わせるとストレス解消の効果がある。また嫌いな映画を見るなどストレスを感じた後の睡眠中は歯ぎしりをする傾向が見られる」ということを説明するために一々被験者のキャラを説明したり、一部被っている実験を行ったりする。そうかと言えばたかだか10人くらいの実験で一般化できたかのように語る。いやまぁ科学番組ではないしちゃんと理論的裏づけがあるだろうから良いのだろうけど、くどく感じる部分も否めず、民放ならその間にコマーシャルも入ることになり尚更説明が長引かされることになる。分かりやすいのはいいが、時間の無駄を感じてしまう。
しかしその「無駄」は単なる無駄ではなく、同時にわかりやすさを印象づけている。言うまでもなくテレビ番組は本局や制作会社といったプロの人々が作っているのであり、カメラのズームの仕方、出演者の喋り、裏の解説・アナウンサーの読み、出演者の後ろにいる人々のリアクションなどは番組を見る気にさるし、なにより内容を強く印象づける。この点テレビは番組の視聴率アップに並々ならぬ努力を傾けてきただけに、映像の作り方として優れていると思う(1)。
思うに番組制作のわかりやすさと一種の冗長さは番組制作者の悩みどころなのではないか。つまりテレビは視聴者が自由にチャンネルを変えてしまうので、説明は細切れにしてかつ反復しないと、途中からたまたま番組に来た人には意味不明になってしまう。一瞬チャンネルを通りがかった人に興味を持たせる、そこで立ち止まらせる、つまり視聴率を取るためには映像のうまさだけではダメで進行のうまさも必要になる。しかしこれはあることをその番組で知りたくて冒頭から見ている人には知らぬ間に時間の無駄を強いていることになる。が、そうしたことが制作側にとって問題にならないのはつまるところ冒頭からある知識なり情報なりを求めて見る視聴者が相対的に少ないのだろう。知識を伝えるだけなら30分の番組は5分で済むと思うが(典型的にはニュース番組か)、知識にも見せ方、印象づけ方というのがあるわけで、その点映像のうまさというのは番組制作と裏表、そして番組制作には視聴率が、広告がついて回るということなのだろう。こうした冗長さと広告費アップの双子はテレビの宿命と言えるのかもしれない。受け手がテレビを早送りすることも、送り手が受け手を選ぶこともできないし。
さて話は飛んで『週刊ダイヤモンド』の特集「新聞没落」(ダイヤモンド社のページではこちら)。紙媒体だけあって「ネットが新聞を飲み込む」という弾みのついた論調ではなく、淡々と新聞販売数・世帯当りの部数の減少、全国紙5紙の戦略などをまとめている。朝日・日経・読売が"ANY"というポータルサイトを立ち上げるという話はネットで既に出ていたが「他のポータルへのニュース配信を止める」という話は初めて気づいた(2)。ポータルサイト化で掲載する広告費狙いとのことだが、個人的にはGoogle Newsに影響が出なければ構わない。インタビューでコロンビア大学のエリ・ノーム(Eli Noam)という方が言っている通り「読者は近い将来、一般ニュースにカネを払わなくなる」(p.63)のかもしれないし、関連して時事通信社の湯川鶴章氏が新しいメディアの定義を出されていたけれども、マスメディアが正に「マス」として「常識」を形成する力が弱まっているという面は見え隠れしているのだろう。そういえば来年度付けで朝日が出版部を切り離して子会社化するという文もあって驚いた。雑誌出してる出版部、赤字だったのね…。
広告費狙いと言えば『ダイヤモンド』誌のネットアンケートでは新聞の現状についてこういう意見が出たそうだ。
興味深いことに、六十代男性のコメントでは「広告が多い」との指摘が少なからずあったが、なんと、二十代女性からのコメントは正反対で、「広告だけの配達をしてくれればもっと需要が増えるはず!!」「広告があればいい」という回答すらある。『週刊ダイヤモンド』ダイヤモンド社、2007年9月22日号(95巻36号)、p.39
「それ日刊カタログじゃん」と突っ込みそうになったけれども、新聞取ってない私は何もいうことがないので皆さんに考えていただきたい。(笑) 一言言うなら、日刊カタログつくるならマスでやるよりも、広告文とターゲットをマッチングさせたカタログのメールマガジンを毎号自動生成したほうがマシだろうという気がする。ブランディングの価値があるにせよ、家電などターゲット層が広い商品を除けば雑誌に出した方が早いような。
ところでこういう雑誌も久しぶりに読んだのだけれど、さすがにプロの人たちが金を取ってやっているだけあって読ませる。取材から情報を、情報をまとめあげて記事に、そして記事をまとめあげて一つの特集にすることは一人でこなせるものではない。分業と集団の力がそこに現れているわけだけれども、どこかで聞いた「ネットにもエディターが必要」とはその点を突いた指摘なのであって、それゆえにいわゆるまとめエントリも流行るわけだ。デジタルTipsやアニメだけではなく様々な分野でそうしたエントリが目立ってくれば「ネットも成熟してきた」と「マスメディア」で語られる日も遠くないのではなかろうか。
------ たとえその視聴率が昔日の感がある世帯視聴率であっても。 [戻る]
- いまJ-CASTのニュースを見たらちゃんと書いてあった…。 [戻る]





9 月 25th, 2007 19:14
新聞没落…
『週刊ダイヤモンド』の特集、『新聞没落』を読みました。
インターネットの普及で、若い人を中心に新聞を購入しない人が増えているそうです。
日本だけが、そうだというのではな (more…)