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サークル学年会

2007/06/30 (土) 02:28
カテゴリー: 日々
kwout this!

 芥川龍之介という人間について私はほとんど知らないし、彼の作品を読んだことも少ない。以前家の近くにある彼の墓を訪ねてみたことはあるが*1、その時も同じ敷地にあった無縁塔に心ひかれたくらいだから、自然彼がその人生の後半で人妻に横恋慕してその思いを諦めたことがあったとは知らなかった。池内紀『作家の生きかた』によれば、彼の没後佐藤春夫の編纂で出た彼の詩集*2には次のような苦しい思いの詩があるそうだ。

かそかに雪のつもる夜は
折り焚く柴もつきやすし
こよひはきみも冷やかに
ひとりねよとぞ祈るなる

ひとを忘れむすべもなみ
ひとを忘れむすべもがな
忘れはてなむすべもがな
今は忘れぬおもかげも

人妻に横恋慕した挙句「ひとりねよ」と祈るのは勝手もいいところで、なんともニヒルな才人芥川らしくない*3。実際にはこの女性、つまり片山廣子(片山広子)は芥川と出会った時には既に未亡人であったのだが、芥川は妻子持ちであったし互いに心引かれても世間体というものがあったのだろう。
 「ひとを忘れむすべ」というのはあったら欲しいか、あったら使うかと言われれば難しいところだ。この場合は恋慕した相手ということだろう。その相手と二度と会うことがないという条件があればひょっとしたら使うかもしれないが、これは誰にもわからないのだから実質上無理な話である。だからそうした術があっても私は使わないだろう。どうせまたいろいろと迷惑をかけることが目に見えているからだ。そうした思いはただ訪れる者もない草むした墓に埋めておけば良いのであって、死んだはずの者が甦ることは神話以来恐怖の対象だった。ま、それを言ったら人生迷惑かけどおしのようにも思えてくる。この詩を読みながらそんなことを考えた。

 さて今日は19時から渋谷で大学サークルで同期だった人たちと飲み会。来たメンバーは皆息災なようだったが、派遣で働きだしたという人が結構大変そうで、大変というか一人暮らしだと貯金を取り崩さないとやっていけないと言っていた。転職を考えているらしく、うまくいくと良いと思う。知財・著作権関連の弁護士を目指している人もいて、司法試験の結果待ちだそうだ。媒体と情報、その所有と権益の話あたりが今相当面白いのではないかな。二次会途中からはトランペットパートの後輩の方々が合流。えーと、何年ぶりになるでしょうかという人も。これも皆さん元気そうで良かった。幹事さんは本業にもかかわらずお疲れ様でした。

 どうも最近自分がいろいろと面白くないせいでそれが態度や雰囲気にも出ていたのだろうか、不思議と酔えない飲み会だった。学生のうちははっきりしなかった、というよりはっきりさせる必要が無かったのだろうが、なにか階層・グループのようなものが現れつつあるようにも感じた。前回の学年会でもあったが、明確に拒絶されるシーンがあったり。まあそうしたものはもともと存在していて、私が無意識にそれへの感覚を鈍らせていただけかもしれない。あるいは単に私が今日まで忘れていただけかもしれない。人の世は向こう三軒両隣の世界、どこに行ってもそうしたことはあるのだろうし、そういう役目ならそういう役目だというただそれだけだ。とは言えだからそれがなんだという話もあるし、そうでなければ待っているのは砂漠だろう。本心としては逆なのだが私が「上から目線」オーラを発しているのかもしれないし。それから読んでもないのに私のブログが「暗そう!」と断言した人がいて、嗅覚が鋭いなと妙に感嘆した。

 行く前に寄った本屋で堀江敏幸の『いつか王子駅で (新潮文庫)』と内田百閒(内田百けん)の『ノラや (中公文庫)』を買った。今日で6月も終わりか。

*1d:id:gamma_ut:20070423#1177337370

*2:正確に言うと、まず芥川の死後出た全集には堀辰雄が詩の部分を担当した。掘が収録した詩は遺された詩篇の大学ノート3冊のうち、清書された1冊のものと草稿2冊のうちの一部であった。3冊を全て含めて佐藤が『澄江堂遺珠』としてまとめ、彼の死後6年近くを経た1933年3月に岩波書店から出版された。

*3:このへんは素人意見なので悪しからず。ただ「あばばばば」を書いた芥川からつなげていくことは私にもできるかもしれない。

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