以前にここで(ページはこちら)PJBEのCDを紹介したが、ギボンズ*1の「イン・ノミネ In Nomine」が素晴らしいのであらためて書く。なにが素晴らしいって冒頭のフリューゲルホルンのソロである。儚いのだ。はかないフリューゲルホルンを初めて聴いた気がする。
In Nomine(主の御名により)という曲は曲名から察せられるように宗教的な曲想を持ち、グレゴリオ聖歌が最初に提示されてその上に変奏を重ねていく形態を持つ*2。その冒頭のグレゴリオ聖歌がソロで演奏されるのだが、はるか彼方へ思いを馳せたような、それこそ「無垢」な子供たちしかいないような場所へと向かっているような、そんな演奏なのだ。
音楽にはいつだってある種の透明さが必要だ。何年も前からこの思いは変わらないが、演奏していてそれを達成できたことは一度も無い。ただ音量が小さいだけでは論外だし、たとえ賑やかなときでも音楽が透き通るようでなければお話にならない。透明さが欠ければそれは音楽ではなくなってしまう。それは演奏でもそうだし、曲自体においてもそうなのだ。
これは単に技術、技量の問題なのだろうか。ある意味ではその通りだ。だがそれは狭い意味での「音符をどうするか」だけに留まらない。それは曲の部分と全体、あるいは演奏者と聴き手の関係の配慮にまで広げた意味での技術である。
*1:Orland Gibbons(1583-1625)、イギリスの作曲家。William Byrdの流れを継いだ作曲家。
*2:これは16-17世紀にイギリスで流行したらしい。In Nomineの曲名を持つ曲は100曲以上残されている。
追記: このエントリは3年近く前のエントリなのだが、JIROさんがPJBEについて書かれているのでリンク先として今頃追記する。私の古楽好きも元はと言えばPJBEから始まったようなものだし、PJBEのプロとしての真摯さが書かれていて大変興味深い。[2008年12月7日]
















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